こんにちは!
「天空のおくりびとNET」です。
「セルフネグレクト」という言葉をご存知でしょうか?
「セルフ」とは「自分」のこと、「ネグレクト」は「無視する」という意味です。セルフネグレクトとは、自分に関心がなくなった状態であると言えます。
※セルフネグレクトとは?
セルフネグレクト(英: self-neglect、又は自己放任)とは、個人自身の基本的ニーズに対して発生するネグレクト行為であり、それには不適切な衛生、服飾、食事、医学的状況などが挙げられる。
より広義には、個人の保健、衛生、生活環境などのセルフケアが不足している状況をいう。
重症なケースはディオゲネス・シンドロームと呼ばれている。
(Wikipediaより引用)
セルフネグレクトの背景には、うつ病などの精神疾患があることも多くなっています。
今の時代、セルフネグレクトになってしまう人は決して珍しくありません。
家族や知り合いで心当たりがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
さて、セルフネグレクトとは具体的にどういった状態になるのでしょうか。
セルフネグレクトの特徴① 衛生面の悪化
セルフネグレクト状態になると、自分の身体を清潔に保つことができなくなってしまいます。衛生状態が悪化することは、セルフネグレクトの大きな特徴です。
たとえば、入浴や洗顔を長期間していない、爪を切っていない、髪やひげが伸びたままなど、通常の人が行う身だしなみを整えていない状態がみられます。
自分をケアする意識がなくなってしまえば、お風呂に入る気も当然起こらなくなってしまいます。
そういう状態が続くと、どんどん不潔な状態に陥ってしまいます。
セルフネグレクトの特徴② 健康管理ができない
セルフネグレクト状態になると、自分の健康に関心がなくなってしまいます。
生きていくためには、食事をして栄養を摂ることは当然のように必須ですが、そもそも生きる気力がないので、食事などどうでもよくなってしまいます。
病気で治療中の方も、病気を治したいという意識がなくなり、治療を中断してしまうことがあります。
そして、服薬をしないなど必要な行為をしないということもあります。
セルフネグレクトの特徴③ 掃除・片付けができない
セルフネグレクトになると、家をきれいにしておくこともできなくなります。
部屋を片付けない、掃除をしない、ゴミを捨てないことで、いわゆるゴミ屋敷状態になり、住環境が極端に不衛生になってしまいます。
家をゴミ屋敷にしてしまうと、自分の家だけの問題ではなくなります。悪臭が発生したり害虫がわいたりと、近隣に迷惑をかけてしまうこともあり得ます。
近所から苦情が出て、近隣トラブルに発展する可能性もあるでしょう。
セルフネグレクトになる要因は?
セルフネグレクトの要因は、現段階でも明確になっていない部分が多いと言われています。
きっかけが明確な場合もあれば、もともとの性格や、身体を動かしづらいなどの些細なきっかけなどが絡み合っている場合もあります。
セルフネグレクトを発症してしまう主な原因として、以下の5つが挙げられます。
・身体機能が低下している
・判断能力が低下している
・経済的に困窮している
・社会的に孤立している
・家族から虐待を受けている
要因① 身体機能の低下
病気や事故、加齢によって身体能力が低下すると、前までは問題なく過ごせていた日常生活も過ごしづらくなってしまう場合があります。
普通の生活を送りたいと思っていても、身体機能が低下すれば、それが叶わなくなります。自分の思いどおりに身体が動かなくなれば、日常生活に対する意欲もだんだんなくなっていくでしょう。
特に高齢者は認知症にかかるリスクが高くなるため、セルフネグレクトを発症しやすくなります。
要因② 判断能力の低下
加齢によって判断能力が低下し、認知症になってしまうこともあります。認知症がセルフネグレクトを引き起こすことも多くなっています。
また、認知症によって、ゴミを集めたり生活に対する意欲が低下したりすることがあります。特に一人暮らしをしている高齢者は、周囲に認知症と気付かれていないケースが多々あるため、セルフネグレクトになってしまう可能性が高まります。
要因③ 経済的な困窮
貧困からセルフネグレクト状態に陥ることも多くなっています。
経済的に困窮していると生活に余裕がなくなって、食事や家事をしなくなったり、買い物や病院に行かなくなったりします。
金銭管理ができず、必要な支払いもできなくなってしまいます。
経済的に困窮する主な原因としては、若年層の場合、離婚や病気、失業などです。高齢者の場合、貯金がないため年金では生活するための資金がたりないこと、認知症の場合はお金の管理ができなくなることが主な原因です。
経済的に困窮した状態である人は、国民健康保険などに加入していない場合があります。
国民健康保険料が未納ならば、病院へ行っても全額自己負担になり、ますます治療を受けることが困難となってしまいます。
要因④ 社会的に孤立
孤立や人間関係のトラブル、悪化も、セルフネグレクトに陥る原因になりえます。
社会的に孤立していると、周囲から自分の状態を確認されることがないため、セルフネグレクトを自覚しにくく、悪化してしまう恐れがあります。
特に高齢者は、定年退職や配偶者との死別、熟年離婚などにより、突然人とのかかわりが少なくなってしまうことがあります。
また、周囲との関係が悪化すると、人に頼ったり助けを求めたりすることができず、さらに状況が悪化することもあります。
人間は、社会とつながりを持つことで、生きがいを感じることができます。社会との接点がなくなって孤立すれば、生きる気力がなくなってしまうこともあり得てしまいます。
要因⑤ 家族からの虐待
家族からの身体的・精神的虐待が原因でセルフネグレクトになるケースもあります。
家族から精神的・身体的虐待を受けていると、「自分は価値がない人間だ」「自分は存在する必要ない」「自分は役立たずだ」などの思い込みが激しくなってしまいます。
家族から虐待を受けている場合、周囲に助けを求められないことも多いでしょう。誰にも気づかれないまま、セルフネグレクトが進行してしまうことがあります。
要因がわからないケースも・・・
セルフネグレクト状態になっていても、必ずしも原因がはっきりしているとは限りません。
原因については、本人も思い当たるふしがないことがあります。
セルフネグレクトについては、現時点ではまだ不明点も多いです。
内閣府がセルフネグレクトになった原因に関する調査を行った結果、約2割の人が「原因がわからない」と回答したというデータもあるぐらいなのです。
セルフネグレクトは、自分自身の健康や安全に対する無頓着や無関心が原因で起こるため、本人はその状態に陥っていることになかなか気づくことができません。
例として、以下に挙げている項目に当てはまるものが多いと、セルフネグレクトの可能性があると言えるかも知れません。
・ゴミが捨てられずに溜め込んでいる
・いつも同じ服を着ている
・服が汚れているのに着替えない
・ごはんを食べない
・栄養を考えずお菓子やインスタント食品だけを食べる
・何日もお風呂に入らない
・歯磨きをしない
・散髪しない
・ひげを剃らない
・爪を切らない
・失禁しても放置している
・病気の治療を拒否する
・処方された薬を飲まない
・他人と関わることを嫌がる
・窓や壁に穴が開いていてもそのままにしている
・介護サービスを拒否する
・郵便物を確認しない
・金銭管理ができず家賃や公共料金を滞納している
セルフネグレクトは高齢者だけの問題ではありません。若者であれ中年であれ、生きる気力をなくしてセルフネグレクトに陥る可能性はあります。年齢に関係なく、注意しておかなければならない問題です。
セルフネグレクトの対処法とは?
セルフネグレクトは、放置しておくと進行してしまう可能性があります。
があるため、個人に合った方法で対処しましょう。
対処法① 本人の考えに耳を傾ける
セルフネグレクト状態の方は、他人とのかかわりを拒むケースが多くなっています。
そのため、セルフネグレクトの症状がみられる人は、「自分を理解してくれる人は存在しない」「誰も自分を認めてくれない」などと思い込んでしまいがちです。
しかしながら、本人の考えをよく聞いて受け入れてあげると、徐々に心を開いてくれるようになります。
まずは、話しやすい雰囲気や、本人が心を開いてくれる工夫が必要です。本人を否定するのではなく、本人の気持ちを理解し、認めることを意識しましょう。
対処法② 介護サービスを活用する
セルフネグレクトの状態に関わらず、介護認定を受ければ、介護保険により、訪問介護、デイサービス、訪問入浴などのサービスが受けられます。
介護サービスを受けることによって、人と関わる機会が増えたり入浴ができたりするため、セルフネグレクトから徐々に脱出できるようになります。