こんにちは!
「天空のおくりびとNET」です。
天空のおくりびとNETでは、相続に係る土地の相談もお受けしておりますが、その中で最もお悩みのご相談をいただくのが、「山の売却について」なんです。
田舎の祖父母から広い山林をもらったり、親戚の方が亡くなり山を相続したけれど、活用方法がわからず売ってしまいたいと思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
自然豊かな山林は魅力的な財産ですが、実際に利用するとなると現地に住む必要があるため、都市部で働いている方だと上手く活用できなかったり・・・。
しかしながら、山林の売却って面倒くさそうだし、このまま放置しておけばと思いがちですが、持っているだけで毎年固定資産税の支払いが発生してしまいます・・・!
山林は、一般的な宅地や住宅よりも売るのが難しい不動産なんです。
そして、もし売れたとしても、山林の立木は全く価値なしという結果が出たり、売却価格がかなりの格安になってしまう傾向にあるのも事実・・・。
じゃあどうすればいいの?と思う方もいらっしゃるかも知れません。
今回は、そんな皆様に向けて「山林売却」のポイントをお話していきましょう。
■山は「買う」よりも「売る」方がハードルが高い
キャンプ・ソロキャンプがブームになっている昨今、山の売買の需要は以前に比べて高まりを見せています。
それだけ聞くと山の売却もスムーズに行われているのかと思いきや、「売りたくても売れない山」さらに言えば「売り物にならない山」がとても多いのが現状です。
では、大多数を占める「売りたくても売れない山」とはどんな山かと言いますと・・・
売りにくい山の特徴① 場所が不便
山林は都会の真ん中にあるものではないため、非常に使い勝手が悪いということがまず理由としてあげられます。
しかも、田舎の中でもさらに辺鄙な場所にあったり、とても歩いてはいけないような場所にあることが多いです。
山林は文字通り山や林であり、基本的に整地も整備もされていないため、駐車場にしたり家を建てたりするのが難しいという問題を持っています。
不動産によっては山林へ行くまでの道が老朽化していたり、水道が通っていなかったりすることすら少なくありません。
広い上に封鎖するのが困難なので、不法侵入されたり不法投棄の現場にされたりする可能性もあります。
そのような土地では、用途も限定されてしまうために買い手がなかなか見つかりません。
売りにくい山の特徴② 面積が広大すぎる
山林の売却が難しい理由の一つに、広すぎるというものもあります。
もちろん、山林によって広さは異なりますが、仮に3,000坪だとしてもとても個人で使いこなせるような広さではありません。
不動産を所有する以上、山林であっても所有者は管理責任を問われますし、広さに応じた固定資産税もかかります。
山林を手に入れても、あまりに広すぎると大抵の人が持て余してしまうため、売るのが難しいです。
売りにくい山の特徴③ 取引事例の少ない地域
宅地や住宅に比べて、広くて使い勝手の良くない山林は、そもそも年間の取引数が少ないという特徴もあります。
取引事例が少ないということは、いくらで売れば良いのか、いくらで売れるのか正確な予想を立てるのが難しいということです。
一般的な不動産なら3ヵ月から半年程度で売却できますが、山林だと年単位で買い主探しを続けることになるケースも少なくありません。
■山を売るための調査が大変
不動産を売却する場合、「その土地の境界がどこからどこまでなのか」を明確にする必要があります。
しかしながら、山は住宅や土地と違って境界が曖昧で、登記簿などに記されていたとしても、大きく違っていることも多々あるのが頭を悩ませるポイントです。
では、しっかりと境界線がわかるように行政が管理すればよいのに…と思っても、これまた悩ましいことに、山は固定資産税もとても低いため、行政による国土調査や地籍調査も後回しになりがち。特に大都市はそれが顕著・・・。
中には、法務局の図面にある境界と、都道府県の山林資源を管理している林業課や林業振興室の図面が一致しないことも。
そうなるとお手上げ・・・、実際に現地に入って自分の足で確認して、その山の歴史を自分で調べて、周辺や隣接する山の状況も把握して・・・と、とても現実的ではない問題が山積みにのしかかってきます。
中には、地目が「山林」になっていても実際には木が生えていなかったり、境界すらわからない…ということも珍しくはありません。
■山の価値を決めるポイント
山林の土地というのは、土地そのものの価格にプラスして、山に生えている樹木(立木)の価値もあるということを忘れてはいけません。
ゆえに、その山に生えている木の値段が低すぎたり、値が付かない様なら売却自体が難しくなってしまいがちです。
樹木は樹齢によっても価値が違いますし、そもそも木材として利用できるかによっても価格はかなりの違いがあります。
木材価格も1年前に比べると値段が多少上がってきているので売りやすくはなっていますが、平成10年に木材の輸入が自由化されたことで価格が大きく下落したまま、現在も低値安定状態であることは否めません。
特に「人工林の放置林」は厳しく、天然林ならばまだ良いですが、「何十年も人が入っていない」ような人工林であれば、伐採ができない・陽当たりが悪く木がひ弱・土壌が健全でないなど、ますますハードルが上がってしまいます。
木造建築や家具などに需要のある木材であれば、樹木を含めての価値が高まりますが、そうでない場合には木があることが逆にデメリットになってしまうでしょう。
山を維持するのには大変な手間がかかりますが、将来的に木材を売ることができればまだしも、そうでない場合には維持ばかりかかって収入を生むことが難しいのです。
■それでも山を売りたい!という時はどうすれば?
ここまで山林売却の難しさを聞くと落ち込んでしまいそうですが・・・、山林を欲しいというニーズもあるということも確かです。
山林の買い手になりそうな人を挙げてみると・・・
・田舎暮らしをしたい都会の人
・地元の林業従事者
・リゾート開発を行なっている会社
・太陽光発電などの開発業者
・投資家
などが該当するでしょう。
昨今では、あえて不便なところに引っ越して、山暮らしを楽しむ都会の人が増えてきていますから、そのような人を見つけると安くても買ってくれる可能性も・・・!
そして昨今のキャンプブームに加え、リモートワークの普及から都心に住む必要が薄まり、田舎暮らしを検討しているなどの理由でも、山林を買いたいと思っている人も出てきて
います。
地元で林業を営んでいたり、別荘地やリゾート、高齢者向け住宅などの開発を検討している企業、自然開発エネルギー事業者なども買い手として可能性があります。
資材置き場や太陽光パネル設置用地だったり、プライベート用の中・大型犬向けドックランや果樹栽培といったピンポイントの用途であれば、意外と適している山もありますので、一度専門業者に相談してみるのも手でしょう。
■山林売却の流れ
山林売却のためには、まずはその山林に金銭的な価値があるのかどうかを知る必要があります。価値がなければ、いくら探しても買い手は見つからないからです。
山林の登記簿謄本や固定資産税の通知書で地目や地番、面積などを予め確認・整理しておくことがベターです。
そして、相談をする窓口としては、専門の不動産業者に相談するのが賢明です。
売却にあたっての調査事項も多いのですが、なかなか素人では山林の境界線を見分けることは難しく、また、隣地所有者との調整も必要になるため、専門家にお願いする方が楽に進められるでしょう。
もしくは、森林組合を通じて買い手を探すという方法もあります。
※査定をしてもらうには固定資産税通知書や登記簿謄本(全部事項証明書)など山林の情報がわかる書類を用意してください。
(その他、固定資産税名寄帳兼課税台帳、公図(法務局備え付けの地図)、固定資産地番参考図(地番図)、森林情報のほか、物件位置図、地籍図、測量図、所有地番一覧表など)
基本的な売却までの流れとしては、
①土地の調査
②不動産屋の選定
③媒介契約、売買活動
④売買契約成立
といったものになります。
※山林は農地と違って、売買するのに特別な許可はいりません。買い手さえ見つかれば通常の土地と同じように売買が可能です。
■山を売るための注意点
山林がなかなか売れないといわれるのは手入れが大変だからです。
山というのは生き物なので、手入れをしていなければ「いい山」にはならないのです。
雑草が生え放題、木の手入れもされていないような山林ではなかなか買い手がつかないかもしれません。